ものすごい雨と風。
「逃げろ!」と言われても、今から外に逃げるのも危険なくらいの雨と風。
もはや、じっと息をひそめて嵐が過ぎ去るのを待つのみ。
ぼくの住むところは一級河川の近くで、朝から降り続ける雨はその川を氾濫させやしないか住人を不安にさせる。
お昼頃には土砂災害の避難勧告が出た。我が家は対象区域ではなかったものの、市内のすぐ近くに出た避難勧告に、ヨメさんの携帯ではラインが飛び交う。
「みんな、どうする?」
「ウチは何にも準備できてない」
「避難所はペットはダメなんだって」
母親たちのネットワークはありがたいような、うるさいような。
そういえば、「五月蝿い」って当て字なんだって。
このあいだ家にハエが舞い込み、「ハエって書けるか?」「うるさいって書ける?」という話になり調べて知った。
話がそれてしまった。
何日も前から、「来るぞ」「来るぞ」と言われていた台風19号。巷では養生テープやブルーシートが売り切れたらしい。
我が家では特別買い足したものはないし、家の周りのものが飛ばないように片付けたくらいで、ほかにたいした対策はしていなかった。
そこへ、避難勧告だ。ちょっと心配になってくる。
すぐ避難できるように、避難グッズと必需品を用意しとけばよかったなぁ。
懐中電灯の電池あるかなぁ
今からでもお風呂に水を溜めておく?
結局、まぁ慌ててもしょうがないね、となった。
夕飯の食卓を囲みながら、もう少し非常事態に備えとかないとね、と誓った。
一級河川が近いので自治体の出すハザードマップでは、多くの知り合いが要警戒区域に住んでいる。ぼくの家はギリギリ大丈夫となっている。
このギリギリが厄介だ。それが仇となり逃げ遅れることになりかねない。
ここ数年、被害の大きな自然災害が増えているので危機管理意識が低いといつか痛い目にあいそうだ。
今はただ、じっと息をひそめるしかない。