試合に負けてヘラヘラしてんじゃねぇ!
友人の息子さんの中学最後の試合。敗戦後、悔し泣きをする子もいる中、彼の息子はヘラヘラしていたらしい。それがどうにも腹が立つらしい。
時々耳にする言葉だ。子供のスポーツを応援しに行った元体育会系の親によくある発言だ。
気持ちは分からなくもない。
ぼくは体育会系じゃなかったが、ボロ負けしてあっけらかんとしている子供たちを見ると、「悔しくないのかな」と思うことはある。
でも「悔しくないのか、お前らは!」と怒鳴るのは違うんじゃないかと思うのだ。
悔しくて仕方がないけど、人前で泣きじゃくるなんて格好悪いことはできない。悔しさをどう表現していいか分からずヘラヘラしている子もいるかも。
そんなに悔しくはないけど、周りが号泣してるからつられて泣いてるだけの子もいるかも。
そんなの見れば分かるって言うだろうけど。
オトナたちが怒鳴ったところで本人の気持ちは変えられない。
オトナたちの願望に沿った感情を抱くことを怒鳴って強制することになってないだろうか。
一方で、オトナたち自身は過去どうだったのか。
スポーツの世界って大抵は負けて終わる。最後まで勝ち残るのは一人または1チームだ。県大会なのか地方大会なのか全国大会なのか。一回戦なのか準々決勝なのか決勝なのか。ほとんどの人はどこかで負けて終わっている。
「いやぁ、あのチームは凄かった。レベルが違う。」
「半端ねぇ」
「俺たちここまでよく頑張った。悔いはない」
そう言って、清々しく終わり、残りの夏休みを楽しんでなかったか。
近年の高校野球では、打たれた後マウンドに伝令が走り輪になって笑顔を見せるシーンがある。緊張を和らげ気持ちを切り替え次の打者に向かわせる効果が笑顔にあるから、敢えて笑うらしい。
一昔前なら、「ヘラヘラすんな」と監督や観客からバッシングされていた行為だ。
冒頭の友人は息子を怒鳴ったりはしていない。
ただヘラヘラしていた(そう見えた)息子が許せなかったのだろう。息子だから自分のことのように許せないのかもしれない。